【2016年】亡くなったマジック界の業界人まとめ

2016年1月から12月までに亡くなった総勢20人もの国内外の業界人たちを偲び、時系列ごとに振り返ってみる。

【1月15日】ヒュー・ナイチンゲール（Hugh Nightingale）享年62歳

The Macgic CircleやIBM、Kent Magicians Guildの会員であり、2004年にはInner Magic Circleのフルメンバーに選出された。また、今年の「ケント・クロースアップ・マジシャン・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど現役のプロマジシャンとして活躍していた。

【1月24日】ジェームズ・パットン（James Patton）享年75歳

IBMの元メンバーで、1989年2月～1992年12月までマジック雑誌のGeniiにてMagicianaの編集者を務めた。また、マジックキャッスルのレギュラーを務めたこともあり、1982年にRon Vergilioとともに「A Visit with Larry Jennings」という本を出版している。

【1月31日】ジェリー・メンツァー（Jerry Mentzer）享年75歳

1969年に「Magic Methods」というマジックショップを立ち上げた人物として知られており、ポール・ハリスが初めて本を出版する際にも関わった人物でもある。1972年～2000年まで延べ18作の作品を発表。

【2月4日】エアハルト・リエブロウ（Erhard Liebenow）享年80歳

ドイツのマジシャン。ポーカーチップを使ったマジックで有名。彼のレクチャーフィルムは1973年のFISMのパリ大会で最優秀賞を飾る。

【2月7日】ボブ・F・ブラウン（Bob F. Brown）享年90歳

世界中でステージショー「The Magic of Make Believe」を30年近く行っていたが、2000年に引退。GeniiやMagic Manuscriptの広報記事に寄稿したが過去がある。

【2月18日】トム・マリカ（Tom Mullica）享年67歳

ヘルニアの手術の合併症で複数の血栓が生じ、脳卒中を引き起こしたのが原因とみられている。マリカは口に何本ものタバコを食べるシガレットマジックで有名。

【2月25日】アイリーン・ラーセン（Irene Larsen）享年79歳

プリンセス・アイリーンとして親しまれたアイリーン・ラーセンが自宅で静かに息を引き取ったことが伝えられた。彼女はマジックキャッスル（Academy of Magicial Arts）の共同創設者であり、AMA会員の第1号として知られている。過去数年間にわたり、AMAの理事会メンバーとして勤め、晩年までマジック界への貢献を続けていた。

【3月2日】ティハニ（Tihany）享年99歳

本名、フランツ・チェイスラー（Franz Czeisler）はハンガリー生まれのマジシャン。1953年にブラジルに移住後、2年後には世界で最も成功したテントショーの1つとされる「Circo Tahany」を設立。4000席を完備し、ラテンアメリカにおけるマジック振興の一時代を築いたとされる。

【3月17日】ポール・ダニエルズ（Paul Daniels）享年77歳

2月20日、治療不可能な脳腫瘍との診断を公表するも、その1ヶ月後、家族に看取られながら亡くなった。イギリスのBBCにて、1979年から1994年まで15年続いた長寿番組「Paul Daniels Magic Show」は番組終了後も反響が大きく、クリスマスのスペシャル番組が放送されたり、その続編となる番組が制作された。その人気ぶりはイギリスにとどまらず、日本のマジシャンにも多くの影響を与えた。

【3月22日】アベル・パボン（Abel Pabon）享年84歳

スライディーニ（Slydini）の弟子だったバボンはプエルトリコやカリブ海を中心にバードアクトを行っていた。引退後はプエルトリコで「Magic Transport」という海上貨物会社を設立した。

【3月22日】エリック・シャープ（Eric Sharp）享年95歳

「Specialized Children’s Entertainment」というキッズマジックのための本を出版。彼のパフォーマンスは多くのマジシャンたちが見向きしないようなネタを魅力的にアレンジすることに長けていたとされている。2014年にはキッズマジシャンのためのイギリスのコンベンション「Kidology」にて、生涯にわたって子供のエンターテイメントの分野で多大な貢献を果たしたとし、Lifetime Achievement Awardを受賞した。

【4月21日】ロイ・ジョンソン（Roy Johnson）享年84歳

1960年代、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの世界中でレクチャーを行った経験を持ち、その後、70年代～80年代にかけて「The Rpy John Experience」、「Second Time Around」、「Third Dimension」といったレクチャーノートやビデオを発表した。

【6月3日】モハメド・アリ（Muhammad Ali）享年74歳

アメリカの元プロボクサー。晩年はパーキンソン病と診断され、闘病生活を送っていた。あまり知られていないが、生前、彼は手品を趣味とし、彼にマジックを教える専属のマジシャンがいたことが伝えられる。

下の動画は彼が子供たちにマジックを見せる貴重な映像。

【7月18日】アブ・ディクソン（Abb Dickson）享年67歳

彼の活動はコメディマジシャン、イラストレーター、俳優など多岐にわたる。俳優といっても、彼はほとんどの映画でマジシャン役として登場していた。そんな経歴もあってか、俳優のオーソン・ウェルズとも仲が良く、こちらのサイトでは、彼との対談記事が掲載されている。

【8月2日】レズリー・ピディントン（Lesley Piddington）享年92歳

1950年代、ラジオを使ったテレパシーショーが盛んに行われていた頃、ピディントン夫妻（The Piddingtons）というメンタリズムチームとして登場。当時、BBCのラジオ番組では、ロンドン塔や水中などあらゆる場所でテレパシーショーを行い、大盛況となった。なお、彼女の夫、シドニーは1991年（享年72歳）に逝去している。

【10月4日】ポール・オズボーン（Paul Osborne）享年68歳

彼はイリュージョンには欠かせない大型の小道具を製作するイリュージョンデザイナーとして知られ、彼はテレビ番組やライブパフォーマンスの裏方として十年以上にわたって関わった。

【11月14日】高井研一郎（たかい・けんいちろう）享年79歳

林律雄原作の「総務部総務課山口六平太」の作画を担当し、晩年まで連載を続けていた日本の漫画家。生前、手品を趣味としており、2001年のRRMCレクチャーノート6号にて、5ページに渡るオリジナル漫画を掲載するなどの活動を行っていた。

以前、雑誌「不思議」を読んでいたら高井先生がマニアックな手順を発表されてて驚いた記憶があります。2000年初め頃のマジックブームの際は、「これでおおっぴらに山口六平太でマジックネタの話がやれる」と仰っていたとか。合掌。 pic.twitter.com/ZlVE9RtAsl

— サンデー日曜6/23カール・ヘイン浜松 (@sundaymagician) November 14, 2016

本日はRRMCの例会です。2001年に発行されたRRMCレクチャーノート6号を皆で回し読みして、亡くなられた高井研一郎先生を偲びました。編集者の中川先生いわく、５ページに渡るオリジナル漫画の原稿料は、このレクチャーノート５冊だったそうです。有り難い話です。 pic.twitter.com/niAUkmpgxq

— TANISHI (@TANISHI_magic) November 15, 2016