2016年1月2日、オンラインショップ「Vanishing Inc.」主催によるその年のベストトリックが発表された。どうやら、「The Trickies」と銘打ったこの企画は2015年限定だったようだ。(ホームページには、翌年の開催を匂わす記述がみられる)
The Trickies
http://www.thetrickies.com/2015-results/
「The Trickies」では、「The Magic Cafe」のトリック・オブ・ザ・イヤーのようなユーザー投票型とは少し仕組みが異なる。まず、事前にジャンルの異なった、かつPenguin MagicやMurphy’s Magicなど大手マジックショップの垣根を越えた5人のプロマジシャン及びマジッククリエイター(Nicholas Einhorn, Kyle Marlett, Chris Ramsay, Rick Lax. Xavier Spade)を招集し、審査委員会を設ける。
次にダウンロード商品、DVD、本、トリックの4つの部門ごとにそれぞれ8つのノミネート作品を選出。その後、ユーザー投票(カテゴリーごとに1回ずつ投票)を経て、各部門ごとにベスト3を公表といった流れとなっている。
【書籍部門】
第1位:The 80’s Called…They Want Their Magic Book Back by Jonathan Friedman (日本未発売)
カードからコイン、さらにはギターピックなどを使った合計22の作品が収録された本作。それらの作品はテクニックに依存せず、比較的練習を短い練習時間で再現することができるものが収録されている模様。
第2位:Blomberg Laboratories by Andi Gladwin
スウェーデンのTomas Blombergによる65の作品を網羅した初の作品集。詳しくはコチラのレビューを参照。
第3位:Classic Fantastic by Paul Vigil(日本未発売)
どうやら秘密を守るためにVanishing Inc.でさえ、24部しか入手できなかったそうで、現在では絶版化している。
ちなみに、本作には4つのルーティン(そのうちの1つがPaul Vigilが「Penn & Teller: Fool Us」S2E11で使ったルーティン「Update」)が268ページに渡って収録されている。
【ダウンロード部門】
こちらはダウンロード商品のため、日本未発売であろうとも、海外サイトからそのままダウンロード購入することができる。
第1位:Magic for the Shortsighted by Pipo Villanueva (日本未発売)
スペインのマジシャン、Pipo Villanuevaによるカードやコイン、ボールを使った計6つのクロースアップ向けルーティン。使用言語は英語。収録時間は2時間40分。レベルは中級~上級。購入は彼のVimeoアカウントから行うことができる。
第2位:Torch and Restored by Brent Braun
現象はまず観客が自由に選んでもらったカードにサインしてもらう。次に、そのカードを4つに破り、ライターを使って溶接。もちろん、カードは燃えてしまうが、次の瞬間、カードが元通りに復活するというもの。カードはそのまま観客に手渡しすることができ、サインも残っている。ちなみに、Penguin Magicのレビューでは、224人の評価を受け、平均星5を獲得している。
第3位:Mirage Et Trois 2.0 by Eric Jones (DVD)
本作はエリック・ジョーンズ(Eric Jones)が2005年に発表したコインを使った同名作品にさらに磨きをかけたもの。(こちらはDVD商品であるはずが、なぜかダウンロード部門にノミネーaト。発売当時、ダウンロード商品であったかどうは定かではないが、この画像の右下からそう判断せざるをえないだろう)
【DVD部門】
第1位:Unreal by Joshua Jay
「Essential Magic Collection」から出たジョシュア・ジェイのDVDセット。2010年に公演を行った「Unreal」のパフォーマンス映像に、売りネタであるInfernoやPrism and Phantom Deck、さらには日本でも有名な「I dream of mindreading」を発展させた作品など多数の作品を収録。
なお、「Essential Magic Collection」は事前に日本語を含む多言語字幕を完備する数少ない海外メーカーでもある。
第2位:Jermay’s Mind by Luke Jermay
ルーク・ジャーメイの過去の有名作品(タッチング・オン・ホイやカラー・センスなど)を一挙に収録するばかりか、そのバリエーション、Q&Aパフォーマンスにマイケル・ウェバーとの対談までも入ったボリューム満点のDVDセット。(日本ではスクリプトマヌーヴァが第1巻~第3巻に分け、日本語字幕付きで販売している)
第3位:Card Under Glass by Doc Eason
タイトル通り、グラスの下にカードが挟まれているというミスディレクションを解説した本作。驚くべきは「カードアンダーグラス」の手順をアンビシャスカードやトライアンフ、スリーカードモンテ等を駆使して26分もの間、観客に計6回も見せるということ。基本的(クラシック?)な手順の中に「カードアンダーグラス」というオチを何度も繰り返してつけられるというのは演技の中に自然とテンポをつけることができる。(それに我々人間はこういう定番の流れというのが大好きだ)
【マジック製品部門】
第1位:Amaze Box by Mark Shortland
本体に触れることなく、スイッチできる特製ボックス。本体は電子ギミックではなく、折り紙のように組み立て式となっている。
第2位:Pyro by Adam Wilber
これまでマジシャンが火器が扱う場合、フラッシュペーパーやフラッシュコットンなど何かを摘み、かつ炎を出す回数に限界があった。そんな問題を解決したのが手のひらから火の玉を発射することができる新たな電子ギミック。USB充電式でフル充電から約600回発射可能。また、手首に装着する仕様になっているため、本当に手から炎が出てきたように見せることができる。
ちなみに、画像及びリンク先、そして商品仕様は「Pyro」ではなく、より多機能にかつ小型化に成功した「Pyro MINI」となっている。
第3位:Cube 3 by Steven Brundage
スライハンド向けのルービックキューブルーティン。数々のテレビ番組で披露され、あのペン&テラーを引っかけた折り紙つきのルーティンとなっている。ただ単に作品集として、解説されているだけでなく、基礎的な技法に始まり、ハンドリング、プレゼンテーションなど一からルービックキューブのマジックを学びたいという人には持ってこいだろう。しかも、本商品では3×3の競技用のルービックキューブが同時収録。