【訃報】マジックの哲学者、ユージン・バーガーさん死去


マジックの哲学者として知られるユージン・バーガーが8月8日、末期がんのため亡くなった。78歳だった。

本人の公式サイトによれば、「バーガー氏は長らく健康的な生活を送っていたが、ごく最近、末期がんの診断を受けていた。それでも、今日の訃報は予定よりも早く、とても残念でならない」と綴られている。

 

ユージン・バーガーはシカゴ出身の1939年6月1日生まれ。

初めて見たマジシャンはジャック・グウェン(Jack Gwynne)というマジシャンで、それはシカゴの「Royal Family of Magic at the Oriental Theater」でのことだった。彼は小学校2年生のとき、グウェンが当時十八番としていた「Temple of Benares(sword box)illusion」について学校新聞で記事を書いた。

その後もマジックへの興味を抱えたまま成長し、ノースパークアカデミー、ベロイト大学、 ルーテル神学校とキャリアを重ね、イエール大学で神学と哲学の学位を取得し、一時はイリノイ大学で比較宗教学と哲学を教えることもあった。

だが結局、大学講師にはなりたくないと気づいた彼はイリノイ州のエバンストンへ移り、 一部の州で導入されている一般扶助(General Assistance) の担当部長に就いた。(これは日本でいうところの生活保護制度にあたる)

1978年(当時39歳のとき)、彼は幼い頃からずっと関心を抱き続けていたマジックへの強い想いから、ついにプロマジシャンに転身することを決意した。

それから1980年代に入り、マジック関連の著作を多く執筆するようになった。

彼自身、メンタルマジックや古代の魔術をモチーフにしたビザーマジックを得意とするクロースアップマジシャンであったが、著作を発表する中で演技の背後にある彼の論理や哲学に多くのマジシャンたちが惹きつけられ、1984年と1985年には連続してマジックキャッスルのレクチャーオブザイヤーに選ばれた。

そうした略歴や彼の物の考え方と相まってか、今日では「マジックの哲学者」として呼ばれ、世界中から尊敬を集める存在だった。