フィボナッチ数列とは、「1、1、2、3、5、8、13、21、34、55…」といったように前の2つの数を加えると次の数になるという規則性を持っている。フィボナッチ数列の魅力はこうした数学的性質が自然界の現象に多く見られるということ。
例えば、オウムガイの形や螺旋状に並ぶ葉っぱの数、ヒマワリの種の数の増え方などがそれにあたる。
フィボナッチ数列の不思議な数学的特性やその魅力については、数学者であり、マスマジシャンのアーサー・ベンジャミンがTEDにて分かりやすく解説してくれている。
そんなフィボナッチ数列のある数学的特性を利用したマジックが数学者のジェームズ・グリム(James Grime)によってYouTubeで公開されている。グリムは自身のホームページ数学や幾何学の変わった性質を紹介する動画をいくつも制作している。
Sum of Fibonacci Numbers Trick
どんな現象か?
① 観客に2つの数字を言ってもらう。
② それら2つの数字を足す。
③ フィボナッチ数列のように2つの前の数字を足す。動画にならえば、「8+5=13」⇒「5+13=18」⇒「13+18=31」⇒「18+31=49」といったのようにこれを計10回繰り返す。
④ そして、出来上がった10個の数字を全部足した数を瞬時に計算すると言い放ち、見事成功する。
どのようにして求めるのか?
これには簡単な計算方法がある。それは下から4番目の数字(この場合は80)に11を掛け算することで、瞬時に答えを求めることができるのだ。とはいえ、「80」ならまだしもランダムな2桁の数字に11を掛け算するなんて難しいと思うかもしれない。でも、実はあまり知られていないことだが、11の掛け算には攻略法がある。
では、まず左の列を見てほしい。
11の掛け算の場合、まず掛ける数字の十の位と一の位を両端にもってくる。この場合は百の位に7、一の位に1と書く。
あとは十の位と一の位を足し算した数字(7+1=8)を真ん中の十の位に入れれば、計算終了。
次の列は少し趣向が違う。57の場合も一の位の7をそのまま一の位にもってくればいい。
でも、十の位の5と一の位の7を足すと、答えは12になる。この場合、まず十の位に2を書く。1つ繰り上がってることになるから、十の位の5に1足した数字(5+1=6)を百の位に書けばいい。
最後に掛ける数字が3ケタの場合はどうなのか見てみよう。まず、181の両端の数字(1と1)を両端に書く。
次に十の位の8と一の位の1を足した数字(8+1=9)を答えの十の位に書く。
あとはまた同じように百の位の1と十の位の8を足した数字が答えとなる百の位になる。
こうした数字的特性も最も興味深い点は最初の数字が必ずしもフィボナッチ数でなくでも構わないということだ。最初が7と4から始めたとしても、計算を10回繰り返せば、同じ方法で瞬時に答えを求めることができる。
なお、東京堂出版の「数学マジック事典」では、『超高速計算』(P.107-110)として紹介されているのがあちらは色々とおかしな部分がある。例えば、本書では(5×1番目の数+8×2番目の数)×11といった複雑な計算式を提唱していたり、2桁の数字から始めるようにしたり(好きな2桁の数字なんてあるわけないだろ)、しまいには11の掛け算を暗算するのは難しいと切り捨てている。