先日、アメリカの経済誌「Forbes」が「世界で最も稼いでいるマジシャン2016」を発表したが、その中でクリス・エンジェル(Criss Angel)の推定年収が経済ニュースサイト「Bloomberg」の調査と大きく食い違う結果となった。これを受けて、ニュースサイト「Las Vegas Review-Journal」は各誌の分析結果をまとめ、改めてクリス・エンジェルの収入額を検証している。
Is Criss Angel or David Copperfield highest-paid magician? It depends on source | Las Vegas Review-Journal
http://www.reviewjournal.com/robin-leach/criss-angel-or-david-copperfield-highest-paid-magician-it-depends-source
10月26日、「Forbes」は世界で最も稼ぐマジシャンのランキングを発表したが、その結果が論争を引き起こしている。
・Vanish Magazine:「シルク・ド・ソレイユのショー『Mindfreak Live!』でクリス・エンジェルが年に1億5000万ドル以上を売り上げた」
・Newsweek:「クリス・エンジェルがラスベガスのエンターテイナーの中で、チケットの売上ランキングが1億5000万ドルを超えた唯一のマジシャン」
・Bloomberg Business Week:「クリス・エンジェルのTVスペシャルで数百万ドル、A&Eの”Mindfreak”に100エピソード出演、”The Supernaturalists”のツアー公演、自身の関連商品や手品セットなど、そのほか過去6年間に及ぶ世界各国への放送権を合わせ、年7000万ドルを売り上げた。また、2005年以降、彼はマジックキットだけで3500万ドル以上売り上げている」
YouTubeの再生回数も驚異的だ。彼はこれまでにYouTubeで3億回以上の再生され、最も再生回数の多いマジシャンとしても知られている。その中でも、「Walks on Water」は5000万回以上も再生されている。また、彼のFacebookやTwitterには600万人を超えるフォロワーがおり、人数だけ単純計算すれば、その人気はハリー・フーディーニ以上といえる。
加えて、「フォーブス」は記事の中でデビッド・カッパーフィールド、ペン&テラー、クリス・エンジェルの公演数をグラフ化していたが、これには数字マジックが潜んでいる。(横長の棒グラフは1年間の収入を表し、右側の3桁の数字はその1年間の公演数を表している)
例えば、カッパーフィールドが行ったMGMグランドホテルの収容人数は740席なのに対し、クリス・エンジェルが行ったルクソール・シアターは1600席となっている。余談だが、複数のチケット評価サイトによれば、平均して「カッパーフィールド:3.5/5」、「クリス:4.5/5」という結果になっている。
こうしたことから、誰が今年最も稼いだマジシャンかは元となるソースによって大きく変動することがわかった。それでも、改めてクリス・エンジェルの実績と現在の人気ぶりが今なお続いていることには驚かされたと思う。そのため、収入面のみならず、彼らがこの1年でどんな活躍を見せていたかを知るには良い機会だったともいえるだろう。