フェニックスデックの製造会社、倉庫火災で経営に大打撃(追記あり)


4月8日の夜、フェニックスデックで知られるドイツのメーカー「Card Shark」の倉庫で火災が発生した。

奇跡的に死傷者は一人もいなかったものの、倉庫はデック類やDVDといった在庫の保管以外に、工場として生産も兼ねていたため、そうした製作機材などがほろとも被害に遭い、経営に大きな打撃を与えた。

+++ WE NEED YOUR HELP+++Imagine for a second that a mythological story would turn into reality. Actually, this…

Card-Sharkさんの投稿 2017年4月9日

火災の原因は明らかになっていないが、巨大な工業用地の中にあり、そのうちの一ヶ所から同社の倉庫に燃え移ったと考えられている。

幸いなことに、オフィスや出荷部門は経営者のクリスチャン・シェンク(Christian Shcenk)の自宅の中で行われており、一部の在庫はまだドイツ国内に残っている状態。

加えて、同社では、アメリカ国内にも倉庫を持っていて、そこには北米及び南米の顧客に出荷予定の在庫や完成済みの製品も多く、すぐに在庫が切れることはないとの見方を示している。

一方、支援と称して商品の購買運動が一挙に集中すれば、生産が追いつかず皮肉な事態に見舞われる可能性も考えられるだろう。

これを受け、Card Shark社の公式サイトでは、今後の復旧支援として、シルバー、ゴールド、プラチナの3種の商品券を用意。今すぐ商品を必要とせずとも、各種商品券を購入することで、資金繰りの一助となることができる。また、将来的な注文の際にはこの商品券を使うことで、全商品を対象に10%割引で購入することができる仕組みとなっている。

それでも、倉庫の中で商品の製作も兼ねていたことが尾を引いているのは事実で、しばらくの間、販売業を休止する必要があるとのこと。

そもそも、フェニックスデック(Phoenix Deck)とは、マジックの世界に通じ、グラフィックデザイナーでもあったクリスチャン・シェンクがプロデュースしたマジシャン用のデック。

それまでゲーム用に使われてきたバイシクルとは異なり、こちらは製造過程からマジシャンが使うことを意識したデザインとなっている。例えば、バックデザインやフェイスにワンウェイデザインが施されていたり、バイシクルユーザーからスムーズに乗り換えられるよう裁断方法には旧式を使ったりと発売当時脚光を浴びた。

それから月日は流れ、これまでにマジシャンが愛用するトランプの新たなスタンダードとなるべく、デザインの修正や品質の向上、ギャフデック/トリックデック/パーラーデックの製造など力を注いできた。

つい先週にはカードサイズそのままにインデックスの大きさを1.5倍にした「フェニックス・ラージインデックス」が全世界に向けて発売されたばかりだった。

このほか、Card Shark社製の商品として、ジョシュア・ジェイの「アウト・オブ・サイト」、「インフェルノ」、最近では、ピット・ハートリングの「キューピット」がある。

なお、フェザータッチでは、同社製品の拡販とし、関連商品の10%割引を今年いっぱいまで行うとしている。


追記(2017/4/19):あの悲劇から10日後、Card Shark社がS.A.M.のFacebookアカウントを通じて、新たな声明を発表した。

Good news from Card Shark…A little over a week ago I sent you a message about our warehouse fire in Germany where…

The Society of American Magiciansさんの投稿 2017年4月17日

内容は以下の通り。

数日前、自社倉庫が火災の被害に遭い、商品や製造機材が全焼する事態をなりました。

そこで、我々は「Rise from the Ashes」と題し、商品券と引き換えに運営立て直しのファンドを呼びかけました。

すると、世界中から莫大な援助と励ましのメッセージが届き、私はそれについ涙していました。

振り返ること8年前、初めてフェニックスデックをリリースしたとき、私は深刻な問題に直面していたことを覚えています。

というのは、US Playing Cards社から届いた初回生産のデックすべてが思っていた以上に品質が悪く、短期間ですぐに劣化してしまうことがわかったのです。その後、原因がUS Playing Cards社のある特定の印刷機に問題があることを突き止め、すぐさま再起を図ることができました。

そして現在、状況はあの頃とは丸っきり変わりました。当時とは違い、妻と義理の妹とともにファミリービジネスへと進展し、次々と新たな企画に挑戦する毎日を送っています。そのうえ、Card Shark社の代表として、ロジャー・ニコット(Roger Nicot)やドニー・バックリー(Donnie Buckley)らが就任。彼らはこの不況の中、本当に素晴らしい仕事をしてくれていると思います。

それでも、今回、世界中のマジシャンたちから受け取ったフィードバックに比べれば、言葉もありません。親しいマジック関係の友人から会ったことすらない愛好家まで積極的に商品券を買ってくれたり、人によってはいち早く駆けつけてくれたりと。それはもう圧倒されっぱなしでした!本当にありがとうございました。皆さんのご支援を胸に必ずや素晴らしい商品を作り、皆さんに恩返ししたいと思います。

実は、もう既に新たな倉庫をそれも以前より広い場所を見つけていて、早速契約しました。

ちなみに、保険には入っていたのですが、火災で失われたことを証明するための過去10年分の税務書類も全て灰となってしまったせいで、もうしばらく時間がかかるようです。

このようにフェニックスはもうすぐ灰の中から孵化しようとしています。そして、再び立ち上がる!

今回の事件はCard SharkのFacebookアカウントにアップされるやいなや、瞬く間にシェアされ、ドイツ語をはじめ、スペイン語やイタリア語などに翻訳され、世界各所のマジックサイトに取り上げられたことがわかった。

声明によれば、公式サイトでの商品券購入ページはあと2日ほどで終了予定とのこと。

余談だが、個人的に一番気になるのはフェニックスデック発売当時、あれだけ積極的に普及に乗り出していたあのジョシュア・ジェイが今回の一件について沈黙を続けていること。彼のインスタグラムを見る限り、現在バケーション中で、もしかしたら気づいてないのかな?(笑)