2016年11月17日、TEDの日本語チームがあるマジシャンのTED動画に日本語字幕を付けたことがわかった。そのマジシャンの名はブライアン・ミラー(Brian Miller)。アンダーグラウンドで活動するマジシャンで、日本では無名に等しい。
そんな彼のプレゼン動画はこれまで日本語字幕が付いていなかったにもかかわらず、YouTubeの再生回数は過去1年間で200万回を突破。
マジシャンがTEDのスピーカーとして登場することは時折があるものの、再生回数が200万回を超えることはほとんどない。そればかりか、日本語字幕が付いていないマジシャンによるTED動画の中で、それまで最も再生回数が多かった動画でもあった(マジシャンによるTED動画として歴代再生回数第5位)。
なぜ彼のプレゼンはそこまで多くの人を惹きつけたのか。
(まだTEDの日本語サイトにアップされていないため、動画の右下にある「字幕ボタン」を押し、その右隣の「設定」から日本語を選ぶことで日本語字幕が見れるようになる)
How to Magically Connect with Anyone | Brian Miller | TEDxManchesterHighSchool
ブライアン・ミラーの約14分間に及ぶプレゼンは次の3点にまとめることができる。
(1) 盲目の男性はいかにしてカードの色を言い当てたのか
(2) 個々の視点には違いがあることを知ること
(3) 個々の視点を取り入れるにはどうしたらよいのか
とはいえ、この際、(2)や(3)の視点の違い云々の話よりも、盲目の男性に対して、どうマジックを楽しんでもらうべきかについての話の方が印象深い。
それまでの「視点の違い」に関する話が吹っ飛ぶレベルで、この話をメインにもっと聞かせてほしいとも思えた。
通常、マジックのタネというのは一般受けしないものだが、こうしたプレゼンという場において、ここまでメッセージ性のあるトリックは中々ない。しかも、タネ明かしを単なる客寄せとして振りまくのではなく、そこに意味を与えてしまったのだから、聞いていて鳥肌が立ってしまった。
日本でも度々TEDの講演が行われているが、今後日本のマジシャンとしてTEDの舞台に上がれるものなのか。この動画を見て、マジックの可能性について少し視野が広がった気がした。