口から煙を出すようなマジックを一般にスモークマジックという。この種のマジックを一躍有名にしたのはカナダのマジシャン、シン・リム(Shin Lim)の「S.S.S」だろう。しかしながら、こうしたスモークマジックの多くがスモークデバイス(電子タバコを加工したもの)を必要としており、彼の作品もまた例外ではない。
そんな中、アメリカのマジシャン、ブライアン・ブラッシュウッド(Brian Brushwood)がちょっとした科学の応用で、電子タバコを使わずに口から煙を吐く方法を紹介している。
Scam School – Episode 1 – The Human Chimney
この人がブライアン・ブラッシュウッド。今は普通なんだけど、このころはまだ若いマジシャンにありがちな派手さが残ってたのかな。
では、実演。まず、マッチを擦って火をつけ、そのまますぐに火を消してまう。
火を消した後、マッチ棒に残る白煙をパントマイム調に掴みとり、口の中に放り込む。
すると、口から薄らとした白煙がモヤモヤと出てきて、演技は終了。
それでは、解説。
マッチを擦り、火をつけた際、赤線で囲ったようにほんの少しだけ煙が出る。この煙を鼻から吸い込んだら、できるだけゆっくり息を吐く。
すると、ゆらゆらと白く、時には灰色の煙を吐くことができる。(ブライアンが最初に演技を見せた際にパントマムを披露したのはある種の時間稼ぎだったといえる)
これは熱せられた煙を吸い込むことによって、煙が寒暖差のある口腔内で冷やされ、水蒸気が発生するものとみられている。とはいえ、その煙にはもちろん硫黄が含まれており、ある意味、この行為自体、毒を吸引するのも同じ。そのため、やり過ぎると、肺にダメージを与える恐れがある。彼自身、スタントをベースにしたビザーマジシャンとしての顔を持ち、よくある科学マジックとはまた違った危険性がある。また、原理上、マッチを擦る際には自分の方に向けて、やらなくてはならないため、火傷にも十分な注意が必要だ。
ちなみに、ブライアン曰く、「これは他のどのマジシャンもやらない」というだけあってか、この原理について日本語で書かれたウェブページはほとんどヒットしなかった。唯一、それらしき記述がみられたのは2014年4月22日に投稿されたYahoo!知恵袋のコレのみとなっている。
マッチについてです!マッチをつけて着火直後… | Yahoo! 知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13128001148