「The Expert at the Card Table」の歴史やレガシー、著者を取り巻く謎について描いたドキュメンタリー映画『The Expert』を製作するとして、クラウドファンディング「Indiegogo」を利用して8月26日から出資をスタートさせていたことがわかった。
The Expert Documentary | Indiegogo
「The Expert at the Card Table」とは、1902年に発行されたカードテクニックに関するバイブルとして読み継がれながら、著者であるS.W.アードネスの正体はいまだに謎とされ、現在でも様々な説が飛び交っている。
著者の謎については奇術研究家の石田隆信によるコラムがある。
第52回「エキスパート・アット・ザ・カードテーブル」の著者の正体の最新状況 | フレンチドロップ
また、かの有名なダイバーノンが幼少期に初めて手に取った手品本もアードネスだったといわれており、2010年時点では5ヶ国語(日本語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語)に翻訳されるほど古き良き名著として知られる。
本作のポイント
本作では、アードネスを取り巻く謎について迫るだけでなく、マジックやギャンブルテクニック、カーディストリーといった様々な観点からその影響を辿る。加えて新たなインタビュー映像や貴重な映像資料とともにアードネスがもたらした現在と過去の両方を明らかにするとのこと。
予告編には、Brent Geris, David Ben, Richard Hatch, Jason England, R.Paul Wilson, Mike Pisciottaらが出演していることがわかる。
The Expert Documentary Trailer | Vimeo
出資者へのリターン
出資によるリターン(見返り)は15ドルから受け付けており、DVDの送付やアードネスをテーマにした特製デック(新デザイン)、エンドクレジットに名前が載るといったお決まりのリターンだけでなく、アードネス本を模したデッククリップ(上の写真)やRichard HatchとJason Englandによるアードネスのサイン本進呈なんてのもある。
本作には既に構想2年を費やしていて、もし希望通りに資金を集めることができれば、2018年末までに完成する予定とのことだが、記事執筆時点(2017年9月9日)では、6万ドル中1500ドル(全体の3%)しか集まっておらず、出資期間の半分が失われた今、あまり順調とは言えない状態の様。
なお、出資ページのラストにはアードネスの言葉が引用され、文字通りアードネス尽くしのようだ。
“…but whatever the result may be, if it sells it will accomplish the primary motive of the author, as he needs the money.” – S. W. Erdnase
(どんな結果であれ、著者がお金を必要としてるなら、それで本が売れるなら著者の目的は果たされるはずだ)